
おはようございます。
京表具の井上光雅堂では、掛け軸などの修復の際、小麦由来のデンプン糊を使った伝統技法で、和紙と表装裂を幾重にも重ねて裏打ちをします。水分でデンプンを溶かすこの技法は、見た目の美しさを保つだけではなく、裏打ちを安全にはがすことができます。そのため、百年後でも修復を繰り返すことが可能となるのです。三代目の井上雅博さんは、「いつも百年後を考えて作業をしている」と言います。
社内では、
「伝統工芸などは百年以上昔のものを修復するため、慎重に扱わないといけません。また修正後は百年以上残ると考えると、その責任も重大です。そのような歴史の重さを認識しながら、鑑賞する側も真剣に見ないといけないと思いました」
「林業は、数年後の林の状態などを考えて木を植えると聞いたことがあります。先のことを見据えて働かなければプロの仕事とはいえません。将来どのように影響があるかに注意して仕事に取り組みます」
「自分でコツコツ研究した内容を、百年後に誰かが見て役に立ててもらえるとうれしいです。自分の知識や経験が将来役に立つよう、今まで以上に努力していきます」
という意見が出ました。
今の豊かな生活は、先人たちが築き上げてくれたものです。同じように、未来は私たちが築いていくことも忘れてはいけません。心豊かな社会を作っていくためにも、今に感謝し、素晴らしい技術、知識や文化、モラル、生活習慣など、一人一人が百年後を意識して伝えていくことが大切なのです。
今日もみんなで「ついてる!ついてる!」