ある電機メーカーが地方に大きな工場を竣工したときのことです。
この工場には従業員用の食堂が設けられるため、仕入れ先を決める必要がありました。
取引業者を決めたのは工場長でした。彼は、アポイントなしに各店を訪問し、店頭ではなく、バックヤードを視察して回ったのです。説明を受けなくても、見るだけでわかると言いました。
見えないところこそ美しく。それは工場の信条でもありました。
社内では、
「スーパーでもバックヤードが不衛生なところは敬遠してしまいます。見えないところの心遣いは、店長や社員の心の表れだと思います」
「私は整理整頓が苦手であるため、デスクの周りが汚く、周囲の人に迷惑を掛けています。年末に向けて、見えないロッカーの中などもきれいに片づけ、気持ちもリフレッシュします」
「飲食店は、最近は調理するところや調理場を見せる店舗があるので、そんなお店に通うようにしています。清潔感を感じられると安心して料理を食べることができます」
という意見が出ました。
人は表に見えるところには気を遣いますが、見えないところは手を抜いてしまいがちです。商品やサービスを生み出す現場の美化を徹底しましょう。