【基本のビジネスマナー⑩】
席次のマナー
席次とは、「誰がどこに座るか」という席順のことです。社会人として覚えておきたい席次のマナーを確認しましょう。
席次には、上座・下座という考え方があり、日本では昔からあらゆる場面で重要視されます。
さまざまな立場の人が集まるビジネスの場では特に重要で、来客の応接、式典、会議の際などの席次を間違えると、大変失礼になるので注意しましょう。
また、日本には昔から、「左上位」の考えがありますが、車やエレベーターなどは、西洋のものなので、「右上位」の席次になります。
部屋の中だけでなく、車やエレベーター、レストランなどでは、どのような心づかいをすればいいでしょうか。形式だけを気にするのではなく、おもてなしの心を大切にしたいものです。
いざというとき迷わないよう、基本のマナーを身に付けましょう。
基本のマナー
基本的な考え方として、上座とは、「出入口から最も遠い席」で、下座とは「出入口から最も近い席」のことです。
上座には、お客さまや目上の人が座り、下座にはお客さまをおもてなしする人や、目下の人が座ります。相手に座っていただく場所で敬意を表すので、案内する際には注意が必要です。
上座に座る順番については、①役職②社歴③年齢です。
お客さまと社内の人間が同席する場合は、お客さまが上座となります。会議室や応接室にお客さまをお通しするときは、出入り口から一番遠い奥の席に案内しましょう。たとえば、お客さまが2人、社内の人間が2人同席する場合は、お客さま2人が奥の席に並んで座り、社内の人間2人が出入口側に座ります。
和室・洋室の席次
和室の場合は、床の間の前が、最上位の上座です。2番目以降は、日本古来の「左上位」の考えに基づき、上座の席から見て、左、右と交互に序列が決まっていきます。円卓の場合も一番奥を最上位の上座、出入り口に近い席を最下位の下座とし、左上位の席次になります。
洋室の場合は、西洋の「右上位」の考えに基づき、右の奥が最上位の上座になります。エレベーターや車なども西洋から導入された文化なので、右上位の考え方にならいます。また、複数人で座るソファ席は、「良い席」とされ、通常出入口から遠い場所に置かれていることが多いので、上座となります。
ただ、レストランなどの場合、景色がよく見える窓の近くの席を上座とすることもあります。
乗り物での席次
エレベーターの場合は、右奥が上座です。向かって見た場合の左奥になります。
運転手付きの車の場合、後部座席の右が最上位の上座で、その次が後部座席の左、後部座席の中央と続き、最下位の下座は助手席になります。しかし、当事者のうち誰かが運転する場合は、関係性によって席次が変わります。たとえば、お客さまに運転していただき、自社の人間が同乗する場合、運転手に敬意を払うという意味で、自分たちのなかの最上位の人間が助手席に座ります。
エスカレーターの席次は、お客さまを「見下ろさない位置」で決まります。つまり、上りの際は、お客さまに先に乗っていただき、下りの際は、自分が先に乗ります。その際は、「お先に失礼いたします」と声を掛けます。
また、通常は上座と考えられる席でも、空調が直接当たったり、下座のほうが窓に近く見晴らしがよかったりする場合があります。
そんなときは、「本来ならこちらが上座なのですが、この席のほうが景色を楽しんでいただけます」など、一言添えるとよいでしょう。
一番大切なのはお客さまの気持ちです。お客さまが自ら下座に座られる場合、上座を強くお勧めし過ぎても失礼になります。「居心地がいい」と思っていただくことを第一に臨機応変な対応をしましょう。