玉置 妙憂

玉置 妙憂

たまおき みょうゆう

看護師・僧侶

看護師・僧侶・スピリチュアルケア師・ケアマネジャー・看護教員。専修大学法学部法律学科卒業。国際医療福祉大学大学院修士課程保険医療学看護管理専攻看護管理学修士。高野山での修行を経て、高野山真言宗阿闍梨となる。現在は非営利一般社団法人「大慈学苑」を設立し、スピリチュアルケアを実践している。

好きなものだけで満たす

絶不調の大行進

最近の話ですが、体調を崩して3カ月ほど低迷していました。肺炎と突発性難聴と声帯ポリープという絶不調の大行進で、これまで風邪ひとつひいたことのない体が自慢だっただけに、青天の霹靂。いきなりのレッドゾーン入りでした。

これはまずいと、心身に良さそうなことをかたっぱしからやりました。有機野菜に、サプリメントに、水。ヨガに、瞑想に、早寝早起き。「かたっぱし」の中には、もちろん、西洋医学の治療も薬も入っています。そのときの状況のイメージ画としては、「自分という袋のなかに、ギザギザした嫌な固まりが入り込んできてしまって、なんとか早くそれを取り出して始末しようと焦り、やみくもに袋の中に手を突っ込んでひっかきまわしている」そんな感じです。でも、期待したほどの効果はほとんど得られず、どんどんと坂道を転がり落ちていくばかりでした。

好きなものだけ

いよいよ声も出なくなり、「かたっぱし」に撃つ弾も尽きたとき、ふと「もう好きなものだけにしよう……」と思ったのです。それからは、自分が欲するものを、欲するときに、欲するだけ食べ。眠れない時は無理に寝ようとせず、昼夜逆転も良しとし。聴くと身体が喜んだ528Hzの音楽を聞いて。写経ばっかりしていました。そのときの状況のイメージ画はこうです。「自分という袋のなかに、自分が好きで、気分が良くなって、うれしくて、楽になるものだけをどんどん入れていったら、袋がだんだん一杯になって、溢れ出しはじめた。そうしたら、その溢れる流れにのって、ギザギザした嫌な固まりがいつの間にか出ていった」そんな感じです。

いや、その時にちょうど薬の効果が出はじめたんだよ、という見方もあります。当然のことながら、有機野菜やヨガがダメだったと言いたいわけでもありません。でも、思ったんですよね。自分の中から追い出したいものがあるときは、それを掴んで放り出そうとせずに、逆に入れるんだと。自分の中に、自分が好きなものだけをたっぷり。

自分を自分の好きなもので満たす

自分を満たす

そして、この方法は健康面だけではなく、人間関係においても活用可能であることを確認済です。たとえば、「もっと手伝ってくれればいいのに!」とイライラが生まれたとしましょう。相手に「もっと手伝ってよ!」と文句をぶつけたり。「イライラしちゃう自分がダメ」とむやみやたらと反省したり。でも、文句を言っても反省しても、イライラは治まりません。なぜなら、このイライラのおおもとは、案外、自分が疲れ果てて枯渇していることだったりするからです。だから、逆に入れる。自分を自分の好きなもので満たす。そうすると、あら不思議、相手は手伝ってくれやしませんが、イライラせずにやっていけます。

というわけで、この経験から得た私のひとこと。「自分の袋は、自分の好きなものだけで満たす。嫌なものをつまみ出すんじゃなくて、好きなものをせっせと入れる。」

4回の連載、お読みいただきまして、ありがとうございました。みなさまの人生が一路平安でありますように!