【従業員が自ら考え、行動するようになるには?】社内の悩みを解決する朝礼
2024年01月17日
コラム
今日のお悩み
Q 「従業員が増えるにしたがって、マナーができていない人、モラルが低い人が目立つようになりました。その都度注意しているのですが、なかなか浸透しません。難しいことを言っているわけではなく、ごくあたりまえのことです。どうすれば理解してもらえるでしょうか?」
A わかります。挨拶をする、マナーを守る、遅刻をしない、確認をする、思いやりを持つ……ごく普通のことだと思うのに、できない人がいると「どうしてだろう」と歯がゆいですよね。しかし、あたりまえのことがあたりまえにできる人材教育、実はとても難しいものです。育った環境や考え方は人それぞれ。自分が「あたりまえ」と思っていても、誰かにとっては初めて聞くことかもしれません。人数が多くなってくると、余計にそのギャップが気になるようになります。
また、人から言われたことや強制されたことはなかなか受け入れられないもの。注意されても、その時だけで終わってしまうことも多いものです。
人が変わるとき、一番効果があるのは、「自分で気づく、学ぶ」ことです。経営者は働く人に、自ら気づくチャンスを与える必要があります。
たとえば、毎日の朝礼で「なぜ挨拶が大事か」というテーマの記事を読み、自ら考えて感想を述べさせます。たとえそのときは否定的な意見を述べても、心には「こんな考え方があったんだ」という気づきが残るはずです。それを繰り返していくことで、「自分もそうしたほうが、もっとうまくいくんじゃないか」という考えに至り、自ら行動するようになるでしょう。根気よく見守りながら続けていくことが大切です。
以下の記事もご参照ください。
導く者
フィギュアスケートの佐藤信夫コーチは、数多くのメダリストを育てた名伯楽です。2010年には、日本人として2人目の世界殿堂入りを果たし、74歳になった今も、浅田真央選手の指導を続けています。
愛弟子の一人である村主章枝さんは、「先生の一番すごいところは、待っていてくれるところです」と言います。「私が理解し、行動するまでじっと我慢して待っていてくれました。答えを言わず、選手に発見させることの重要性を教えてくれたのです。指導者が答えを全て教えてしまえば、選手は人として成長できません」と続けます。
佐藤コーチも若いころは、自分のスタイルを強引に押しつけたこともあったそうです。しかし、指導する子どもたちは一人一人、年齢も違えば、性別も身体的特徴や目標も違うため、答えは自分で気づかなければいけないとわかったのです。
指導者や組織のリーダーは、「答えを発見させるには、どのような言葉や行動が必要なのか」を考察しながら、教え子や部下が自分で気づくまで、辛抱強く待つことが必要です。
アクション
「俺の言うことなんか、聞かなくてもいい」
こう話すのは、今年の4月からJリーグの川崎フロンターレの監督に就任した風間八宏さんです。言われたことだけをやる、やらされるのでは成長はない。自分で気づくことが大切だ、と指摘します。
風間さんは、選手がプロだからそういう指導をするわけではありません。選手の主体性に任せるというのは、プロチームの監督になる前、筑波大学で監督をしていたころからの指導法でした。
なぜ、そのような指導になったのでしょうか。風間さんには、「とりあえず動く」という持論があるからです。
ポイントは「動いて、気づく」です。私たちは、すべきことに気づいてから動こうとしがちです。つまり気づけないと、ずっと止まってしまうことになりかねません。それでは無駄に時間がすぎていくだけです。
あなたは大丈夫ですか。考えすぎて、ずっと立ち止まったまま、ということはありませんか。ずっと止まっているよりも、前へ前へと動いてみるというのは、有効なはずです。停滞した現状を打破することにつながります。