スタッフが5人になったら起こる問題とは?
小さな組織が直面する「5人」の壁
「組織」とは、いったい何人からを指すのでしょうか。
2人なら密にコミュニケーションが取れるし、3人でも、リーダーの意思はすぐに伝えられる。でも、4人、5人になったら……? だんだん全員とコミュニケーションを取るのが難しくなってくるものです。
私たちは組織が最初に直面する壁は「5人」と考えます。
ではスタッフが5人を超えるとどんな問題が起こるのでしょうか?
スタッフが5人を超えると起こる問題
①コミュニケーション不足によるトラブル・事故
集合時間や確認事項など、伝えるべき情報が伝わらないことによるトラブルや事故が増えてきます。「みんな知っていると思っていた」「誰かが言ったと思っていた」という組織でよく起こるコミュニケーションの齟齬が起こり始めます。
②サービス・商品の品質低下
接客態度やサービス・商品の品質がスタッフによって異なるとクレームにつながります。
「当社の仕事ではここまでやる」という基準を全員で統一しておく必要があります。
③報告のない遅刻・欠勤の増加
スタッフが増えてくると、遅刻や欠勤が目立つ人が出てきます。5人を超えるといわゆる「暗黙の了解」が通じなくなってくるのです。
④モラルの欠如
「やって良いこと、悪いこと」の判断は人それぞれ違うもの。近年問題になっているように、予想外の問題行動を起こすスタッフが出てきます。
⑤マンネリによるルール崩壊
たとえルールを決めても、時間がたつと忘れてしまったり、自己流になってしまったり……。ルールが形だけのものになってしまいます。
これらの問題は、スタッフ一人一人の価値観・考え方・経験が異なるために起こります。
解決するためには、定期的に全員の意思を統一する場をつくることが大切です。
それが、毎日の朝礼です。
朝礼を行う効果
では、朝礼を行うと何が変わるのでしょう?
朝礼にはさまざまな効果がありますが、次のような効果が実際に『月刊朝礼』読者から報告されています。
事故・トラブルの防止
慌ただしくイライラした気分で仕事を始めると事故やトラブルが起こる原因に。仕事を始める前にルールを確認し、「あなたを心配する人がいる」と伝えることは、スタッフの心を落ち着かせ、事故やトラブルを予防する効果があります。
理念・価値観の共有ができる
リーダーの理念、組織のミッションの周知を毎朝行うことで、全員に浸透させます。
理念を全員が理解することで「スタッフによって対応が違う」というトラブルを防ぎ、自社のサービス品質を保つことができます。
生活習慣の安定
朝礼が習慣化することで、出勤時間が早くなり、遅刻・無断欠勤が少なくなり生活習慣が安定します。
不調な社員が減ることで、予想外の事故やトラブルも防げます。
モラルの向上
朝礼でモラルを学ぶことで、心づかいや言葉遣い、マナー、挑戦する勇気など、良い行動を後押しします。
スタッフの人間的成長は、企業価値の向上につながります。
凡事徹底
あたりまえのことをあたりまえに。挨拶、マナー、接客など、朝礼は、組織の「出来てあたりまえのこと」を確認する時間になります。毎日続けることで、組織独自の品質基準やスタンダードが完成されます。
コミニケ出版代表 下井謙政の「一人朝礼」
コミニケ出版の三代目社長、下井謙政が代表に就任した2006年当時、社内に朝礼の習慣がありませんでした。『月刊朝礼』をつくっている会社なのにと驚いて尋ねてみたところ、「昔はあったけど、朝から人数が揃わないことも多いのでいつの間にかなくなった」などできない理由を並べられました。それを聞いて、下井は「朝礼やりましょう!」と呼び掛けましたが、誰一人として一緒にやろうと言う人はいませんでした。
「それなら一人でする!」と決めて、一人朝礼を始めます。
「おはようございます!」と一人で立ち上がって挨拶。『月刊朝礼』を手に、“今日の話”を読んで感想を述べ、神棚に向かって社是を独唱します。最後に、「今日も一日、よろしくお願いします!」と社員に向かって声を掛けますが、完全に無視されていました。それでも一人で朝礼を続けて一カ月ほど経ったある日、50代の経理部長の女性が立ち上がってくれたのです。その後、一人、二人と徐々に朝礼参加者が増えていきました。
不思議なもので、朝礼を始めてから殺伐としていた社内の雰囲気が変わっていきました。朝礼で毎朝顔を合わせ、それぞれの言葉を聞くことで、その人が何を考えているのか分かるようになったり、社員同士が気軽にコミュニケーションできるようになりました。
朝礼を始めた当時の社員数が、ちょうど5人。
それから18年。統制が取れておらず、モチベーションが低かった組織は、
現在、グループ全体で50人弱の組織に成長しました。